LESSON3.5 予感的中…

 広海たちがへこんでいたその頃、少年と少女はまだ教室に残っていた。
「ねぇ、偽千秋」
「なんだ、馬鹿猿」
 もうこの悪口はもう2年以上になるので、お互いほとんど気にしていない。


 ふたりは小学校、中学校の時から争ってきており、高校入学時、
 何の因果があってか同じクラスとなった。
 そして早々、ふとしたケンカで校舎裏の社を壊してしまった。
 それが原因で、魔物祓いをさせられることになった。
 …それから3年目の春、ふたりはちっとも変わっていなかった。
 変わったといえば信頼関係が少しだけ結ばれたというだけか。
「今日、物凄く嫌な予感がするんだけど…」
「奇遇だな。俺もだ」
 普段は性格が違う故か、意見は食い違いばかり起こしているふたりだが、
 このときだけはピッタリと合っていた。
「こんな予感は久しぶりだ。
 …御桜関係だな、きっと」
 男の方はふぅとため息をつき、教室の窓から外を眺める。
 夕焼けの風景が美しかった…妖しいほどに。
「げっ!? それはこの間断ったじゃない!」
 女の方は思い切り顔をしかめる。
“それ”というのは、御桜が広海たちに頼んだ件のことである。
「アイツがそんなに素直だと思うか…?
 良く考えてみろ。 今まで俺たちはアイツに振り回されっぱなしだった…。
 この意味が分からないほどお前も馬鹿じゃないだろ?」
 男はかぶりを振って、女に確認する。
「それって…これからも巻き込まれる…ってこと?」
「残念ながら正解だ」
 男はもう一度はぁとため息をつき、学生服のポケットに手を突っ込む。
 そこには小さな桜の枝が入っていた。
「もう嫌だよぉ!」
 対して女は駄々をこねる子供のように叫び、机に突っ伏した。


「だが、お前も見えただろ?」
「……うん。」
 一転、ふたりは真剣な顔つきになり、何か考え事をしていた。
「…いるな」
 男がボソッと呟く。
「3匹だ…。 あたしは、か弱いから一匹。 あんたは二匹相手してやってよ」
 女も彼に合わせ小さく呟く。
「よく言えるな…フルーツパフェ一つでどうだ?」
「わかった…それで手を打つわよ。各々一匹。
 であとの一匹はふたりでってことで。
 それにしてもこれを言うのも久しぶりね…」
「そうだな。 もう言いたくないんだが、アイツを敬う言葉なんて」
 そして場は静まり返る。


「御桜様、万歳」
「御桜様! 万歳!」
 男は仕方が無いなと言わんばかりに、女はもう自棄になりながら、言葉を紡ぎだす。
 すると、男の手からは翠の剣が、女の手からは黄の斧が現れた。

「出て来い…相手をしてやる」
「この千秋様が退治してやるんだから!」
 ふたりは背中合わせになり、それぞれの得物を構える。

 しばらくすると3体の“鬼”がどこからともなく出現する。
 3体とも背はそれほど高くないものの、強靭な身体を誇っている。
「雷鬼、緑鬼、雪鬼…雷・毒・雪の術を扱う奴らか。
 俺は雷鬼を相手する。
 馬鹿猿、お前は緑鬼を頼んだぞ。そのあとで、雪鬼をふたりで相手する。
 …くれぐれも油断するな」
 その瞬間、男の剣を握る力が強くなる。
 そして左から向かってくる雷鬼に向かって跳んだ。
「わかってるわよ!
 偽千秋、アンタも無理はしないでよ!」
 そして、女も斧を握り締め、駆け出した。




〜後書き〜
調子に乗って書いてみました。
咄嗟の思いつきなので読み飛ばして下さって結構です。
ちゃんと読んでいなくても本編とは無関係ですから。


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